ミラコエ新事業『デザイン×選挙』にこめる思い
投票率の向上ではなく「政治について話しやすい風潮」を作るために、デザインの力で選挙を身近にする新プロジェクト。
「政治について話そう」が、なぜこんなに難しいんだろう?
皆さんは友達と政治の話をしたことがありますか?
僕は18歳になった時、正直に言うと困惑しました。投票権を手にしたのに、どの候補者に投票すればいいか、判断材料が足りなかったんです。
この経験は僕だけのものではないと思います。若者の投票率36.5%という数字の背景には、同じような悩みを抱える同世代がたくさんいるのではないでしょうか。学校では政治制度について学びますが、現実の政治課題や判断方法については十分に議論される機会がありません。
そして、より深刻な問題があります。現在の日本では、政治について話すこと自体がどこか避けられがちな雰囲気があります。家族の間でも、友人同士でも、「政治の話は控えめに」という暗黙の了解のようなものを感じることがあります。
しかし、この沈黙が社会の分断を深めているのではないでしょうか。
SNSが主要な情報源となっている現在、情報の正確性が十分に検証されないまま有権者に届き、混乱を招く事態が頻発しています。感情的な対立ばかりが目立ち、建設的な議論が生まれにくい状況です。
こうした状況だからこそ、異なる意見を持つ人たちが建設的に議論できる場が必要だと考えています。
投票率向上だけでは解決しない根本的な課題
ミラコエを立ち上げる時、同級生の茂木が僕に重要な質問をしました。
「投票率を上げればいいだけで、本当に解決する問題なんだろうか?」
この問いかけで、自分の本当の目標が明確になりました。僕が実現したかったのは、投票率の向上ではなく、政治について話しやすい風潮を作ることだったのです。
行政は選挙が近づくと「若者も選挙に行こう」というポスターを掲示し、有名人を起用したCMを制作します。確かに一時的には効果があるかもしれません。しかし、「選挙に行くべき理由」や「投票における判断基準」について十分な情報や議論の機会を提供しているでしょうか。
私たちが目指したのは、もっと根本的な変化でした。政治を「難しくて遠い存在」から「自分に関わる身近な問題」として捉えられるような環境を作ること。政治家と直接対話し、疑問をぶつけ、考えを深められる場を提供することでした。
最初に開催した模擬投票イベントで、ある同級生からもらった言葉が印象に残っています。
「今まで政治って自分には関係ないと思っていました。でも今日、少し考えが変わりました」
この一言が、私たちの取り組みの意義を確信させてくれました。
デザイン×選挙で実現したい「小さなきっかけ」
今回、新しい取り組みとしてきっかけデザインプロジェクトを始めました。
有難いことに、動画の総再生数は10万を超え、立派なプロジェクトへと進展しました。
仕組みはとてもシンプルです。投票証明書の代わりに、ミラコエがデザインした親しみやすいステッカーを配布します。選挙に行った人がそれを携帯やノートに貼り、それを見た周りの人が興味を持つことで、自然な会話のきっかけが生まれることを期待しています。
「そのステッカー素敵ですね、何ですか?」 「選挙に行った記念なんです」 「今回の選挙、どんなことが争点になっているんでしょうね」
このような小さな対話から始まればいいのです。政治について話すことの、ささやかなきっかけになることを目指しています。
これまで私たちは大規模なイベントを開催してきました。5人の国会議員をお招きして、300人の参加者の方々にお集まりいただくような「特別な機会」も大切です。しかし、それだけではなく、もっと日常に溶け込む形で政治を身近に感じてもらいたいと考えるようになりました。
友人同士のカフェでの会話、通学路での何気ない一言、家族の食事の時間。そうした普通の瞬間に、政治の話題が自然に入ってくる社会を実現したいんです。
分断ではなく、対話を生み出すために
私がこの活動を続ける背景には、現在の社会状況への強い問題意識があります。
政治について気軽に話し合えない社会は、民主主義の基盤として健全とは言えません。異なる意見を持つ人同士が建設的に対話できない状況は、社会の分断を深めるだけです。
高校生の時、政治家の方々にイベント参加をお願いする電話をかけた際、正直「断られるだろう」と覚悟していました。しかし実際には「面白い企画ですね」と前向きに検討していただき、最終的に多くの方にご協力いただくことができました。
Yahoo!ニュースで厳しいコメントをいただいたこともありました。「茶番劇」「無駄な取り組み」といった批判もありました。確かに私たちの活動は完璧ではありません。しかし、社会を良くしようと行動する若者を、挑戦する前から否定してしまう風潮があることの方が、より深刻な問題だと感じています。
小さな一歩から始まる変化
この記事を読んでくださっている皆さんにお伝えしたいことがあります。
もし今、「何かを変えたい」「声を上げたい」という気持ちを抱いているのであれば、それは決して無意味なものではありません。むしろ、そうした想いこそが社会を動かす重要な原動力だと思います。
私自身、18歳になったばかりの頃は何もわからない状態でした。組織運営の方法も、政治に関する深い知識も、すべて手探りの状態からのスタートでした。しかし、実際に行動を始めることで見えてくることがたくさんありました。完璧を求めず、行動しながら学んでいけばいいのです。
特別な技術や豊富な経験は必要ありません。大切なのは、「現状を良くしたい」という想いです。
皆さんが一歩踏み出すことで、周りの誰かの考えや行動が変わるかもしれません。皆さんの視点、経験、アイデアは、きっと誰かにとって価値のあるものです。
私たちが目指しているのは、10年後、20年後も続く持続可能な仕組みです。政治が身近な存在となり、若者の声が政策に反映され、本当の意味での民主主義が機能する社会の実現です。
政治について気軽に話し合える社会、分断ではなく建設的な対話が生まれる社会を、一緒に作っていきませんか?